| 米国ではベンチャービジネスにとって株式市場は整備されているのか。
|
|
ベンチャービジネス先進国の米国では、証券市場の点でも日本よりはるかに進んでいる。
日本と同じようにまず取引所市場と店頭市場(ナスダック市場)があるが、その下にもOTCブリティン
ボード銘柄が四二〇〇銘柄があり、さらにその下にピンクシート銘柄が七八〇〇銘柄あり、さらにそ
の下のローカル市場で約一〇〇〇〇銘柄が売買されている。
◎ナスダック銘柄(ナショナルマーケットとスモールキャップ)
ナスダックとは【米国証券業協会(NASD)】 が管理・運営している店頭市場の気配情報システムで
ある。このナスダックにはナショナルマーケットとスモールキャップの二つの市場がある。東京証券
取引所でいえば、ナショナルマーケットが第一部市場でスモールキャップが第二部市場といったとこ
ろだ。
ナショナルマーケットはナスダックに登録している銘柄のうち証券取引所に上場されている銘柄と同
等程度の規模をもった銘柄に対して、証券取引所上場銘柄と同等の規制を目的で八一年に導入さ
れたものである。
ナショナルマーケットの売買高はナスダック全体の九割近くを占め、インテルやマイクロソフトといっ
たナスダックを代表する銘柄はどとんどこのナショナルマーケットに属する。ナショナルマーケットの
登録基準は、設立の経緯からすれば当然のことであるが、非常も高く、AMEX(アメリカン証券取引
所)と同等以上の水準となっている。したがって、ナショナルマーケットはベンチャービジネスが容易
に利用できる市場とは言えない。
一方、スモールキャップの基準は、設立後間も無いベンチャービジネスでも公開できるように、利益
基準は設けられておらず、その他の基準もナショナルマーケットに比べてかんり低いものになってい
る。具体的な数値基準(下限)は、@総資産四百万ドル、A資本金・剰余金二百万ドル、B浮動株式
数十万株、C浮動株式の時価総額百万ドル、Dマーケットマーカー数二社、E一株当たり買い気配
三ドル、F株主数三百人、である。
◎ピンクシートとブリテンボード
「ピンクシート」とは米国における未公開株式の銘柄情報を満載した一覧表のことで、黒い文字が見
やすくなるようにピンク色の紙を使っていることからピンクシートと呼ばれている。このシートはナショ
ナル・クォーテーション・ビューロー(NQB)という民間会社から発行されている。そして、このシートに
掲載されている銘柄がピンクシート銘柄と呼ばれている。証券会社は売買したい銘柄をNQBに依
頼してピンクシートに掲載してもらう。週刊ダイアモンド(九七年七月二六日号)によると、掲載料は最
低一〇銘柄で一銘柄あたり約八ドル(一か月)だそうである。
このピンクシートは機関投資家向けのみを対象として販売しており、現在購読社数は約一〇〇〇社
だそうである(購読料年間八五二ドル)。ただし、このピンクシートの情報はブルームバーグなどの情
報ベンダーを通じても投資家に提供されており、それを加えると約二〇〇〇社の機関投資家がピン
クシート情報を利用している。
一方、ピンクシートを利用して売買を行っている証券会社は約五〇〇社あり、一日の平均売買高は
三〇〇〇万株である。また、掲載銘柄数は約一万五千もあるが、そのほどんどが「ペニーストック」
と呼ばれる一株五ドル以下で買える安価な株式である。また、ピンクシートに単独掲載されている
銘柄のうち年間三〇〇社前後の会社が「昇格」してナスダックに登録される。他方、ナスダック登録
を抹消され、ピンクシートに「降格」する銘柄も二〇〇社近くあるそうだ。
なお、このピンクシートには、上場銘柄や登録銘柄も掲載されるので、狭義のピンクシート銘柄とは
ピンクシートに掲載されている銘柄のうち上場銘柄や登録銘柄でない銘柄をいう。この銘柄につい
ては、ピンクシートが一日一回しか発行されないので情報量に乏しいことから、詐欺的な取引が行
われる危険が少なくない。
このようなピンクシートの情報不足を補って取引の公正性を確保するために生まれたのが、米国証
券業協会が管理するOTCブリテンボードである。このブリテンボードはピンクシートに代わって証券
会社に設置されたコンピュータの画面上にマーケットメーカーの気配や電話番号をリアルタイムで表
示するシステムである。ただし、ブリテンボードに銘柄を乗せたり気配を公表したりするのはマーケッ
トメーカーの自由であり、登録基準や公表義務は決められていない。
|
|
|